山々に囲まれ、冷涼な気候ならではの食文化が広がる長野市。そばやうどん、おやきといった郷土食から、ニュースタンダードなソウルフードまで。長野にきたら、これは味わってほしい! というおすすめ名物料理をご紹介。
うまいそばは信州にあり!マラソンの締めくくりは長野名物・信州そばで
信州そばとは、長野県で作られる手打式(風)のそばの総称で、そば粉を40%以上配合した良質の干しそばのこと。小麦粉の配合によって、二八そば、十割そば(生粉打ちそば)、九一そば、五割そばなどと呼ばれ、地域によってはオヤマボクチ(ヤマゴボウ)の葉脈や山芋、布海苔をつなぎに使います。また、そばの種類には、そばの実の中心部分を使った真っ白なそば「さらしなそば」やそば殻を挽き込んだ黒っぽいそば粉による「田舎そば」、ルチンを多く含み苦みのあるダッタンそばの実を用いた「ダッタンそば」などがあります。日本三大そばのひとつとされる「戸隠そば」は、根曲がり竹で編まれた円形のざるに「ぼっち盛」と呼ばれる独自の盛り方で二八そばを盛り付け、信州の伝統野菜に認定されている辛味大根「戸隠大根」を薬味につかったもの。ほかに、千切りにした大根とそば粉をかき混ぜてだし汁で食べる「はやそば」といった郷土食もあります。
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信州そば漫遊
食事やおやつ代わりに親しまれてきた日常食。さまざまな調理法を食べ比べ!
小麦粉やそば粉などを水で溶いてのばした生地に野沢菜や山菜などの具材を包んで焼いた信州の郷土食「おやき」。長野県は急峻な土地が多く寒冷地ゆえに昔から稲作に適さないとされ、代わりに小麦粉やそば粉を原料とした食品が多く作られてきました。おやきもそのひとつ。その歴史は古く、長野市北西部の縄文遺跡から雑穀の粉を練って焼いた跡が発見されたことから、一説にはこれがおやきの起源といわれています。今では地域によって焼き方や具材にさまざまな特徴が見られます。
農村部では、かつては囲炉裏の灰で焼かれた「灰焼きおやき」が主流で、灰は殺菌効果もあることから保存食としても重宝されました。それが里に伝わるにつれ、囲炉裏からかまどになったり、より手軽に作れるように工夫され、焼き、蒸かし、揚げ蒸かしなどの種類が生まれたのです。それぞれに食感が異なるので、食べ比べもおすすめ。具材は季節の野菜や丸ナス、切り干し大根、かぼちゃ、あんこといったスタンダードなものから変わり種まで、現在は20 種類以上あるとされています。
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信州おやき調査隊
「やきそば」=「あんかけやきそば」甘いあんにカラシ酢をかけて召し上がれ
長野市で「やきそば」といえば「あんかけやきそば」。麺の太さや、揚げ麺か蒸し麺かは店によってさまざまですが、その人気はソースやきそばよりも根強く、長野市内をはじめ、県下のいたるところに個性的なあんかけやきそばの店を見つけることができます。発祥は、大正13 年に長野市権堂に創業した「福昇亭」。横浜で働いていたこの店の創業者・小松福平が長野市に移住したのが始まりでした。
昭和初期には山国ゆえに十分な海鮮食材を調達できなかったため、キノコや野菜をふんだんに使った信州流の「あんかけ焼きそば」が誕生したそうです。その後、長野市から上田市まで進出し、あんかけやきそばが広いエリアで定着するようになりました。いずれの店舗も、あんはやや甘めで、付け合わせとしてカラシ酢をかけて食べるのが長野流。麺は大盛りで値段もリーズナブルなので、育ち盛りの学生にも人気が高く、その分、愛着もひとしおです。今では長野市民のソウルフードともいえる食べ物のひとつになっています。
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長野グルメ調査隊(食べログmatome)
奥深い味わい「あまもっくら」地域を代表する伝統食
釜揚げうどんの一種で、長野市から上田市にかけての地域で昔から食べられてきた伝統料理です。
このうどんの特徴は、何といってもつけ汁。「ねずみ大根」と呼ばれる坂城町特産の辛味大根の搾り汁に、信州味噌や鰹節・薬味を入れて溶き、つけ汁とします。強い辛さの後からほのかな甘味を感じる奥深い味わいは「あまもっくら」と表現されるほど独特で、汗が出るほど体の芯から温まります。辛党はもちろん、味噌等で辛さを調節できるので、辛いものが苦手な人でもOK。そして、大根おろしの部分は使わずに搾り汁だけを使うので、非常にぜいたくな料理とも言えます。その昔は、賓客をもてなす料理として用いられたのだとか。ちなみに、ねずみ大根の辛味は通常の大根の2 倍以上でありながら、ビタミンC が豊富で糖度も多く含まれるので、まろやかな甘みを感じるのです。ユニークな名称は、形がふっくらと下ぶくれで尻尾のような細い根がでているところが”ねずみ”をイメージさせることから付けられたといわれています。
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坂城町ねずみ大根振興協議会 おしぼりうどん提供店
全国的にも有名な栗の産地・小布施。小布施の栗がほかの栗と違う理由
長野市中心部から北東約20km に位置する小布施町は、栗の名産地として全国的に知られています。
この地に栗が伝わったのは室町時代。領主だった荻野常倫が故郷の丹波国から栗をとりよせて植えたのがはじまりとされ、町を流れる松川は酸性で、土壌が栗の育成に適していたことに加え、水はけのよい扇状地だったことから栗栽培が発展したといわれています。江戸時代には栗林がうっそうと広がっていたそうで、幕府の天領として最高級の栗が将軍家に献上されたとか。江戸中期には栗を粉に引いた「栗落雁」が誕生し、ここから小布施の栗菓子が始まりました。粒が大きくて香りが高く、まろやかな小布施栗の味わいは、収穫方法に特徴があります。一般的に栗の収穫は実を木からたたき落として行われますが、小布施の場合は完熟して自然に落ちてきたものだけを拾っているのです。こうして収穫された栗は、栗ようかんや栗かのこ、栗おこわといった代表的な栗菓子から、工夫を凝らした洋風スイーツなどに使われ、さまざまな味わいを楽しませてくれます。
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小布施町観光情報サイト「いい小布施ドットコム」