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強い雨が降る夜…長野市のトラックに黙々と走るランナーの姿 でも長野マラソン本番で追求したいのは楽しさ

2025-04-17T13:11:56+09:00

信濃路に思い乗せて 4.20長野マラソン〉㊤

 春の信濃路を約1万人のランナーが駆ける第27回長野マラソンが20日に開かれる。手を取り合いながらゴールすることを目指す夫婦や、タイムよりも楽しく走ることを目指すランニングクラブのメンバー、そして、長年、大会運営を支えるボランティア―。当日を待ち望む人々を訪ね、それぞれの思いに触れた。

(いなづか弘樹)

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■それぞれの目標を胸に駆ける

 「ペースが速いよ」「まだまだ走れるね」。青空が広がった9日、長野市稲葉の丸山一二三(ひふみ)さん(67)、寿子さん(62)夫婦が桜が咲き誇る長野市若里の歩道を走り抜けた。一二三さんは長野マラソンの第1回大会から、寿子さんは第17回大会から出場を続けている。

 会社員だった一二三さんは、長野マラソンの前身で1998年まで開かれた信毎マラソンをコース近くの自宅で見たのがきっかけで、マラソンに興味を持った。市民ランナーも参加できるようになった99年の長野マラソンの初回に出場。沿道の大歓声に「心が震えた」。練習に打ち込み、3時間を切る「サブ3」を何度も記録。2012年に膝にけがを負った後も自分のペースで完走を続けてきた。

 寿子さんはダイエットを目的にマラソンを始め、参加した同市の「三本柳ランニングクラブ」で一二三さんと出会った。一二三さんからランニングの指導を受ける中で距離が縮まり、21年11月に結婚。平日は別々に練習するが、休日は景色を楽しみながら一緒に走り、県内外の大会にも夫婦で参加している。2人は「共通の趣味があるのは楽しい」と口をそろえる。

 長野マラソンでは昨年から2人で同じペースで走り、一緒にゴールすることにしたが、給水所ではぐれてしまうことがあった。今年は水を取るタイミングなどを細かく打ち合わせている。寿子さんは、「夫を信じて付いていくだけ」、一二三さんは「今は妻の目標をかなえることが1番」と話す。今年は昨年果たせなかった「サブ4」達成とともに、夫婦で手をつないでゴールするのが目標だ。

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 10日夜、長野市の長野運動公園のサブトラック。強い雨に打たれながら黙々と走る20人ほどのランナーの姿があった。スポーツ大会などを手がける下高井郡木島平村の会社が運営する「アルプランニングクラブ」のメンバーだ。昨年4月に発足し、約40人のメンバーのうち半数ほどが長野マラソンに出場する。タイムよりも参加者が楽しく走ることを目標に掲げる。

 クラブのコーチで、自身も長野マラソンに出場する小林海仁(かいと)さん(26)=木島平村=は、佐久長聖高(佐久市)や日本体育大で全国大会を目指してきた。当時は駅伝のメンバーに入るのに必死で、「常にタイムに縛られ、走っていて苦しかった」。

 駅伝のメンバーから外れ、悩んでいた大学3年生の頃、友人に誘われ、北アルプス唐松岳に登った。雄大な景色に胸を打たれるとともに、他人と競わずに足を進めることに解放感を味わった。この体験を機に、里山などを走るトレイルランニングも楽しむようになった。「タイムだけではない楽しさをトレイルランで知った」と話す。

 クラブのメンバーでマラソンとトレイルランでともに10年以上の経験がある会社員の高田裕子さん(53)=飯山市戸狩=は長野マラソンについて「地元の大会で、仲間と一緒に出る楽しさがある」と笑顔を見せる。小林さんは「長野マラソンでは、チームメートそれぞれの目標を応援しながら、みんなにしっかりと声をかけつつ駆け抜けたい」と力を込めた。

(信濃毎日新聞)

雨の中、練習に励む「アルプランニングクラブ」のメンバー=10日、長野市の長野運動公園