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長野市で開く長野マラソンのボランティア、1999年の第1回大会から支え続け 「ランナーから元気もらえる」

2025-04-18T19:31:47+09:00

〈信濃路に思い乗せて 4.20長野マラソン〉㊦

 「まだ辺りは真っ暗で、懐中電灯で照らしながらランナーの荷物を預かる作業をしてたんだ。寒くてね」

 1999年4月18日に開かれた長野マラソンの第1回大会。現在、ボランティア団体「ネットワーク・信州なでしこ隊」の代表を務める柳原静子さん(81)=長野市みこと川=はこの日、午前4時ごろから県消防学校(長野市篠ノ井東福寺)で選手たちから荷物を受け取る作業を担当した。

 当時の参加選手は約4300人。他のボランティアもまだ作業に慣れていないようで、「みんな手探りでやっていた」。ボランティア仲間と出会えるのが楽しく、その後も毎回、給水所の運営などを担ってきた。

 長野マラソンは、県内外から多くのボランティアが参加した98年の長野冬季五輪を記念して始まった。以前から地域のボランティア活動に参加していた柳原さんは五輪の際、シャトルバス発着場所での案内などを担当した。2011年には、地元の篠ノ井地区でボランティア団体を立ち上げ、イベントでの飲食物提供や子ども食堂支援などに取り組む。19年10月の台風19号災害の際に炊き出しをするなど、幅広く活動している。

 選手たちを支える長野マラソンのボランティアだが、給水所や本番前日の受付で短く言葉を交わす程度で、選手と直接触れ合う時間は多くない。それでも、柳原さんは常連の市民ランナーを見つけると「今年も頑張っているんだ」と自分のことのようにうれしくなるという。コースの各地点に設けられた関門で立ち止まってしまった選手に「もうちょっとだよ。頑張れ」と大きな声で励ましたところ、選手から「ありがとう」と返されたこともあった。

 長野市スポーツ課によると、今年の長野マラソンでは2744人がボランティア登録している。ネットワーク・信州なでしこ隊からは約80人が参加を予定。10年以上、柳原さんと共に活動する村田みつ子さん(77)=同市篠ノ井御幣川=と小市文子さん(81)=同市篠ノ井二ツ柳=も変わらず活動に加わる。

 14日、3人が市内で長野マラソンでのこれまでの活動を振り返った。「頑張って走っている人を見ると元気をもらえる」と小市さん。村田さんは「ボランティアは私の居場所。仲間は家族のように感じる」。そして、小市さんは長野マラソンを長年にわたって支える柳原さんについて「私たちにとってとても大きな存在。今年も一緒にランナーをサポートしたい」と信頼を寄せた。

 柳原さんは昨年から手の関節炎が悪化するなど体調は万全ではないが、「これからもやれる限りボランティアを続けていきたい」と意欲を見せた。そして、ゴールテープを切るランナーのイラストが入ったボランティア用の帽子を前にこう語った。「長野マラソンのボランティアは私の人生そのもの。ここで出会った人たちは宝物です」

(信濃毎日新聞)

ボランティア用の帽子を前にこれまでの活動を振り返る小市さん(左)、柳原さん(中央)、村田さん=14日、長野市篠ノ井二ツ柳